「不登校~保護者ができることは?」⑥

Eさんは現在、工務店の経営者であり、飲食店のオーナーでもある。

中1の時、不登校になった。将来どうするんだ、どうやって生きていくんだと絶望の中にいた。不登校になった理由は未だにわからない。家族・近所の人から責められて、引きこもってしまった。学校に行っていないし、働いてないから、お金も使っちゃいけない・・・家族に迷惑をかけているから、自分は何もしちゃいけないと思っていた。

両親は、親の会へ行ったり、不登校について勉強するようになり、Eさんを責めなくなった。それと同時に、Eさんは気持ちが落ち着き、家で料理をしたり、中2からフリースクールへ行くようになった。仲間といろんなことに挑戦し、遊びからいろんなことが勉強できると知った。

引きこもり生活からは脱したものの、学校には戻りたくなかった。将来への不安はずっとあった。自分は何が好きか、何が出来るのか考えていた。引きこもりの時期に料理が好きだったし、料理の世界は実力社会だから不登校は関係ないと思い、18歳から料理の修行を始めた。休みの日はリフォームの仕事を手伝い、料理と大工の両方の仕事を身につけていった。10年後、独立し店を出した。店のデザイン・施工も手掛けた。それが評判を呼び、工務店を開いた。そして現在に至る。

現在不登校のお子さんをもつ親御さんがいくつか質問をした。
Q:不登校だったことに後悔はない?
A:後悔はない。自分がやりたいことをやっていいと知れたのはよかった。

Q:学力・コミュニケーション能力は困らなかった?
A:知識が足りなければその時に学べばいいと思っている。私が必要な知識は学校では学べないものだった。コミュニケーション能力も、学校では同年代の友達しかいないが、社会に出ればいろんな人がいるので、学校に行かないからコミュニケーション能力が育たないというのは違うと思う。

コミュニケーション能力は、フリースクールで異年齢の人と交流したり、地域のボランティア活動に参加したりして養うことが出来る。不登校だからコミュニケーション能力が育たないのではないかという心配はしなくてよい。学校は効率的・合理的に勉強出来る場なので利用するに越したことはないが、自分が今必要だと思ったその知識を学ぶパワーというのは、テストの為・赤点を取らない為の勉強の仕方と全く違ってくる。頭の中に深く入って習得のスピード・量・質も違ってくると尾木直樹氏が補足した。
自分の好きなことを一生懸命やることほど楽しいものはなく、そういう人生の幸せを求めるのが一番だと、ある親御さんが言った。

「不登校の人たちの生き方から学ぶことがたくさんある。好きなことをするのはわがままではなく、本当の学びである」という言葉が印象に残りました。